社会保険労務士試験に何年も不合格で嫌になっているあなたへ
※この記事は2017/8/22に加筆・修正しました。
社会保険労務士試験は難易度が高く、何年チャレンジしても合格できない方が大勢います。
1年に1回しか試験がないので、試験が終わり自己採点の結果が思わしくないと大きな失望感に見舞われますよね。
あんなに頑張ったのに...と。
自分が嫌になってしまったり、もう諦めようかなと思うこともあるでしょう。
私も、仕事以外のすべての時間を勉強に費やしたにもかかわらず不合格になった経験があるからこそ、その気持ちは痛いほどわかります。
悔しくてしばらく夜眠れませんでした。
今回は、社会保険労務士試験に何年も不合格で嫌になっているあなたへ伝えたいことをお話します。
これまで学んだことは決して無駄にはならない
不合格になると、これまでの努力がすべて無駄だったかのように感じてしまうことがあります。
でも、決して無駄にはなりません。
私は合格するまでに2年かかりましたが、2年目の試験のときには1年目に覚えたことが正解を導いたこともありました。
また、2年目にやっと理解できるようになった項目についても、1年目の「わけがわからないなりに必死で覚えようとした」ことが土台になって、理解が追い付いたと思っています。
あなたが何年も勉強を続けているのであれば、今あなたが理解していることはすべてこれまでの勉強の上に成り立っているのです。
そして、あなたがもし社労士試験を受けるのをやめたとしても、これまで学んだことは仕事にも生かせるし、生活する上で自分のため、家族や友人のために役立てることができます。
ですから、これまでの努力は決して無駄ではなかったのです。
3年以上かけて合格した人はやっぱり知識が身についてます
わたしの受験年数が2年だと言うと、大抵「おっ、やるね」と言われます。
もちろん1年で合格するのが一番ですが、社労士は1、2年で合格できれば立派と言われる試験です。
ただ、1年で合格した人の知識の深さ、定着率はしれています。
特に、合格後すぐに実務を始めなかった人の忘却度はすごいです。
2年目受験時に、1年で合格の人と話をしたとき強く感じました。
「え、そんなこと覚えてないの?」と。
2年目で合格すると、1年目よりはるかに定着していますが、それでもまだまだです。
わたしも、実務でやらなかったことはけっこう忘れちゃいました。
ただ、2年かけると、「そういえばそんな条文あったな、あそこを調べればわかるかも。」と、調べる場所がわかるレベル。
これが、3年以上かけて合格した人は、その後多少のブランクがあったとしてもかなり鮮明に覚えています。
学校の仲間と今でもときどき集まりますが、3年〜5年で合格した人たちの話のレベルは高いからついていくのが大変です。
何が言いたいのかというと、長く受験していると、それだけ知識が定着する、つまり、今後実務をやるときに活かしやすいということです。
どんな人でも落ちるのが社労士試験
社労士試験を真剣に勉強したことのある人ならお分かりでしょうが、社労士試験の採点方法は非常に厳しくて、特に「足切り」と言われるラインに及ばず、あと1点に泣く人が多いです。
そのため、どんなに模試で良い成績を収めた合格確実と言われるような人でも、不合格になることは多分にあります。
私の友人も択一式で合計60点を楽に超える優秀な成績でしたが、足切りラインに1点及ばない科目があって不合格でした。
年によっては択一式合計45点でぎりぎり合格できる人もいれば、それより15点も取っている人が不合格になるということが実際にある試験なんです。
また、頭が良いから受かるというわけでもありません。
知人は地元の超進学校を出て超有名私立大学を出たような高学歴でしたが5年目でようやく合格していました。
例え何年も不合格であっても、自分は頭が悪いなどと思う必要は全くありません。
不合格の本当の理由は何かを見極めよう
もしあなたが何年も合格できないのであれば、考えられる理由は2つ。
勉強量が足りないことか、たまたま運に恵まれなかったかです。
前者は勉強時間捻出と自分の努力が必要です。
後者に関しては「圧倒的な勉強量を持って臨んだ『合格ラインよりはるか上』の人であれば、運に見放されるのは3回まで」と私なりに分析しています。
正式なデータを取ったわけではないのですが、たくさんの仲間を見てきて感じました。
本当に運のなさだけで不合格になった人は大勢いますが、どの人も1回か2回運に見放されただけで合格できているなと感じるのがその根拠です。
3回を超えて運に見放された人はほとんどいません。
5年かかって合格できたという人であっても、2年目までは勉強量が足りずに合格圏内にいなかったけれど3年目以降は努力して合格ラインより上になった。
でも2回は運に見放されてやっと5回目で合格できた。という人です。
1年目...勉強量不足
2年目...勉強量不足
3年目...運がなかった
4年目...運がなかった
5年目...合格
ということです。
最初から合格ラインを余裕で超えているにもかかわらず運だけで5回不合格だったというわけではないのです。
何を言いたいのかと言うと、運が悪かっただけならあと1、2回で合格できるから続けてほしいということ、
合格ラインぎりぎりかそれより下で試験に臨んだのであれば、それは運が悪かったのではなく勉強量が足りなかったのだとしっかり認めること。
今後どうするのかのために、この見極めが必要です。
圧倒的な勉強量があるのに合格圏内に到達しない人は
社労士を1回受けるのに必要な勉強量は1,000時間と言われています。
自分は勉強量が足りているかを判断する際には1,000時間を目安にしてください。
これは、3年かけて1回試験を受けるから3年で1,000時間で良いということではなく、1年で1,000時間です。
なぜなら社労士は科目数が多く最終的には知識を詰め込むという追い込みが必要があり、法改正などによる知識の書き換えも必要だからです。
3年で1,000時間では、最後の科目をやる頃には最初の科目のことは忘れています。
では、何年も、毎年1,000時間以上勉強しているのに合格圏内にすら到達できないという方、具体的には模試の択一式で一度も50点以上を取れないという方は、勉強方法が根本的に間違っている可能性があります。
(1年目の方は成長途中の可能性があるので該当しません。)
たとえば、下記に当てはまる場合は間違った方向に進んでいる可能性があります。
学校のテキスト以外の本などにたくさん手をだしている
問題集の正答率90%未満だけど何回もやったからいいと思っている
問題集だけでテキストは読んでいない
過去問よりも予想問題を主にやっている
何年も受験すればするほど、基本からずれた勉強方法になりがちです。
しかし、最も合格への近道はやはり基本、王道の勉強方法になりますので、是非基本を見つめなおしてほしいと思います。
どうしても勉強時間が捻出できないのなら今は見送ることも必要
1日に1時間ぐらいしか勉強時間をどうしても取れない、家族の協力をもらっても、何をしても1年に500時間も取れない、という方は今は受験を見送ることも必要です。
本来500時間では足りない勉強量ですが、なぜ500時間なのでしょうか。
それは、私の知人の”実務経験が超豊富で圧倒的に理解力の高い、すばらしく頭のいい人”の3年目合格時の勉強時間がそれぐらいだったからです。
500時間で合格する人も中にはいるということです。あなたがその人に該当するかを考えてください。
もし該当しないのであれば...?
勉強時間を捻出することは社労士受験の基本であり、そもそもそれができないのであれば、今は受けるときではないのかもしれません。
子育てが落ち着いてから、仕事に余裕ができてから、でも遅くはありません。
だらだらと少ない勉強量で何年も受け続けるより、きちんと受験と向き合えるようになってから短期決戦で挑む方がお金と労力、精神面や家族への影響が少ないです。
続けてもやめても、本当にどちらでもいい
社会人の勉強ですから強制力はありません。
あなたが、「もう嫌だ、やめたい」と思っているのにやり続ける義務はありません。
冷たい言い方かもしれませんが、社労士の勉強を1ミリも楽しいと思えないのであれば、やめてもいいと思います。
勉強は孤独でしんどいものですが、合格した人たちは皆、どこか生き生きと勉強を楽しんでいました。
もちろん眠い目をこすり、皆が遊んでいる休みの日に図書館に行って勉強するのは大変ですが、知識を得る欲が満たされる快感、理解できたときの喜びは少なからずあるものです。
これらを全く感じられないのであれば、他の趣味や勉強に没頭した方がいいと思います。
そのとき、自分を責める必要は全くありません。
もし少しでもやっぱり社労士の勉強をしたい!と思うのであれば、是非続けてください。
続けてもやめても、あなたはあなた
何年も合格できない人の中には、合格した人たちに負い目を感じたり、応援してくれたのに悪いと思ってしまう人がいます。
その人たちのためにもやめられないと思うんですね。
でも、皆、その人たちが受験をやめても軽蔑もしなければ情けないと思うことはありません。
応援していたのは、その人が好きで、その人が頑張っていることだったから。
その人が社労士受験をやめて子育てを頑張っているのであれば、喜んで子育てを応援します。
社労士受験をしているあなたが好きなのではなく、ただあなたが好きなのです。
社労士受験をやめたら自分でなくなってしまうような気がするかもしれませんが、全くそんなことはありませんから安心してください。
続けてもやめても、あなたはあなたです。
私の学校の仲間で、私が通い出す前から受験していた女性がいます。
勉強方法などの相談を何回も受けていたので、その女性は落ちるたびに「ごめんね、色々時間を取ってもらったのに...」と申し訳なさそうにしていました。
結局その女性は10回の受験を最後に学校に通うのをやめて受験せず、お子さんを出産して今はママとして奮闘しています。
今後またチャレンジするのかは分かりませんが、私は今も受験時代と変わらずその女性のことが大好きです。
受験をやめたことを「諦めた情けない人」となんて絶対に思わないのです。
最後に
何年も合格できないのであれば、もう諦めた方がいいよ、と言っているわけではありません。
周りの目を気にしたり、自分の気持ちにウソをついたりしてまで、勉強を続けるのではなく、人生の一部として楽しんで勉強をしてほしいと思っています。
ですから、これからも勉強を続けたい人には是非頑張ってほしいし、やめて他のことをやろうと決めた人には是非そのことを楽しんでやってほしいなと思います。
何でも、楽しんでやれたときにうまくいくものだと、確信していますから。
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