失業手当の申請は退職前の準備が大切。退職から実際の支給開始までの流れとは?
退職したあとにいわゆる失業手当をもらうという人は、実は退職前に色々と準備しておくと退職後すぐに手続きに行けてスムーズです。
そして退職後すぐに失業手当がもらえるわけではないという点も注意です。
というわけで今回は、失業手当をもらうために退職前に準備しておきたいことから、実際の支給開始までの流れについてお話していきます。
離職票送付は退職前に依頼をしておくべき
退職した後にこんなことを聞いてくる人がいます。
「離職票って、前の勤務先の人からもらえばいいの?」
退職して会社に行かなくなった後に相談されるケースが意外と多いですが、退職前に離職票の依頼はかけておく方がスムーズです。
退職後に依頼してそこから離職票を作成してハローワークに送ってもらって...となると時間的なロスが発生する可能性があるからです。
また、退職した会社にわざわざ出向いたり、電話をするのは気まずいということもあるでしょう。
退職する前に「離職票をお願いしますね」と担当者に伝えておきましょう。
通常は退職手続き時に、担当者から「離職票はどうしますか?」と聞かれますが、割と聞いてくれない会社もあるみたいなので少し注意が必要です。
ところでこんな疑問を持ちませんか?
「離職票って退職する人は当たり前にもらえるものじゃないの?」
実は、離職票の交付は当たり前のことではなく、こんな根拠条文があります。
事業主は、前項の規定により当該資格喪失届を提出する際に当該被保険者が雇用保険被保険者離職票(様式第六号。以下「離職票」という。)の交付を希望しないときは、同項後段の規定にかかわらず、離職証明書を添えないことができる。
ただし、離職の日において五十九歳以上である被保険者については、この限りでない。
※雇用保険法施行規則より
何だか難しいですが、要するに
離職票は希望した人に渡せばいいんだよ。でも、59歳以上の人には絶対に渡してね。
ということが書かれています。
なので、言わないともらえない可能性があるよってことです。
離職票が不要な人とは、転職先がすでに決まっていて失業手当の申請が必要ない人などですね。
ちなみに離職票を作成するのって、総務担当者にとっては手間なので、できればいらないって言ってくれる人の方がありがたいです。
離職票が届いたら確認しておきたいこと
離職票が手元に届くのは退職してから1〜2週間程度かかります。
なぜなら
会社が離職証明書作成→ハローワークへ送付→会社に返送→退職者に送付
という流れで離職票ができるのでどうしても時間がかかるからです。
会社がいくら頑張って早く離職票を作成してくれても、結局ハローワークの手続き時間もあるのですぐにはできないということです。
たまに離職票の送付が遅いことを会社に文句言ってくる人もいますが、ある程度は仕方のないことなのです。
で、離職票が届いたら退職理由については確認しておきましょう。
通常の退職理由(自己都合等)ですと、受給制限と言って3ヶ月間は失業手当を受けることができません。
解雇や倒産など、特定の理由がある場合はこの受給制限が免除されることがあります。
離職票に退職理由の欄があって通常はそこに正しい退職理由が書かれていますが、会社によっては勝手に自己都合とか書いてくる場合があります。
本人の記名欄もあって事前に確認できるので、正しい退職理由でなければ会社に直してもらう、それが難しいようならハローワークにきちんと説明しましょう。
必ず退職理由がくつがえるものではありませんが、場合によっては自己都合→やむをえない理由への変更が許可されることもあります。
雇用保険者証は自分で持っているか会社保管されているか
次に、雇用保険者証です。
これは、名前の通り、雇用保険に加入していた証で正式名称を「雇用保険被保険者証」と言います。
雇用保険に加入していない人はそもそもありませんので注意してくださいね。
雇用保険に加入していない人とは、勤務時間の短いパートさんとかです。ご自身の契約を確認してみましょう。
雇用保険者証がどこにあるかは
・雇用保険に加入したときに会社から渡されている
・会社が保管している
のどちらかです。
厚労省は「雇用保険に加入したときに本人に渡してくださいね」としていますが、実際問題としては紛失しちゃう人が多いので、会社が保管しておいて退職時に渡すという方法を取っているケースもよくあります。
なので退職前に、自分が持っているか会社保管なのかを確認して、会社保管であれば退職前にもらっておくとスムーズです。
ハローワークへ行って求職の申し込みをします
ここまでご紹介したように、退職前に最低限
離職票の交付を依頼しておく
雇用保険被保険者証をもらっておく
という2つはやっておくと良いです。
で、いよいよ失業手当の申請に行くわけですが、実はハローワーク(雇用保険)からでる失業手当は、失業したからと言って誰でも受けることができるわけではありません。
雇用保険でいうところの「失業」の状態というのは
「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就くことができない」状態
のことを言います。
要するに
「体が健康で働ける状態にあるなら仕事を頑張って探ししてないと、手当なんてあげないよ。」
ということです。
具合が悪くてしばらく働けない、少しぶらぶら休みたい、親の介護があってしばらく働けない、などの人は「失業」の状態にないのです。
ただし、病気や介護の場合などは、実際に職探しをできる状態になったら手当がもらえるよう、申請できる期間を延長することができます。
こういったケースの場合はハローワークの方に相談しましょう。
理由もなく少しぶらぶらしたいという方は、期間内に手当をもらわないと失業手当がもらえなくなるということは覚えておいてくださいね。
ですから、退職したら失業手当が必ずもらえるわけではなく、退職前にきちんと失業間の生活をどうするのかは考えておいた方が良いということです。
受給説明会へ必ず行かないといけない
無事に失業手当の手続きが済むと、最初に受給説明会というものがあります。
必ず行ってくださいね、と言われますので、必ず行ってください。
説明なんてしてもらわなくても知識があるから分かると思っても、行ってください。
行かないと失業手当がもらえません。
7日間の待機がある
失業手当には「待機期間」というものが7日あって、7日間は何もできませんし、手続きも進みません。
これは、退職の確認や事務手続きに必要な期間とも言われています。
黙って待ちましょう。
認定日が決定
そして、いよいよ認定日というのが決定されます。
この日には必ずハローワークに来てくださいね、という日です。
4週間に1回が認定日ですから、指定された日にはハローワークに行ってくださいね。
行かないと手当はもらえません。
その日がちょうど、面接の日だったりして行けない場合はハローワークの人に相談すれば大丈夫です。
基本的には、何もなければ必ず認定日にはハローワークに出向くことになります。
やっと失業手当がもらえる
ここまでやって、やっとのことで失業手当がもらえます。
巷で言うところの、3ヶ月は失業手当がもらえない、という話は聞いたことがあるかもしれませんが、実際に銀行にお金が振り込まれるまでは、退職してから4ヶ月ぐらいはかかると思っておいてください。
ここまでお伝えしたように、
退職日から離職票が手元に届くまで時間がかかる
待機期間の7日がある
自己都合退職の場合は受給制限が3ヶ月ある
認定日決定から銀行振り込みまで時間的ロスがある
ということになりますから、単に「退職日から3ヶ月後には手元にお金がある」という状態にはならないのです。
ここを見誤ると、「3ヶ月経過してもお金が振り込まれなくて困る!」ということがおきてしまいます。
何事も余裕をもっておくということが大切ですね。
最後に
いかがでしたか?
今回は、失業手当をもらうために退職前に準備しておくとよいものと、失業手当支給までの流れについて解説しました。
失業手当をもらえるまでの道のりは長いのです。
しかし、国からお金がいただけるのですから、当たり前だと思いましょう。
私たちが毎月かけている雇用保険料はわずか。
その保険料に対してもらえるお金としては、かなりありがたい制度なんです。
というわけで、退職して失業手当をもらう予定がある方はぜひ参考にしてみてください。
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