厚生年金保険料率の段階的引き上げの話。平成29年度で一区切りだよ

厚生年金保険料率の段階的引き上げの話。平成29年度で一区切りだよ


  ※この記事は2017/9/27に執筆しました。

 

先日、知人からこんな質問を受けました。

 

「知り合いから聞かれたんだけど、厚生年金って上がるんだよね?いつからいくらあがるの?」

 

いろいろナゾが多い質問ですが、どうやら厚生年金の、「保険料率」の段階的引き上げについての話題を、何かで見聞きしたようです。

 

というわけで今回は、厚生年金の保険料率の段階的引き上げについて解説します。

 

 

 

 

 

 

 

厚生年金はいつからいくら上がるのか

 

 

まず、冒頭の質問を分解して整理しますと、質問者さんは2つのことを聞いているようでした。

 

1.「厚生年金はいつから上がるのか」

 

2.「厚生年金はいくら上がるのか」

 

説明の流れ上、2番から解説していきますね。

 

 

 

厚生年金はいくら上がるのか

 

この質問に対しては、まず下記の計算式を知っておく必要があります。

 

今回は、毎月の給与から引かれる厚生年金保険料について。賞与は割愛します。

 

厚生年金保険料=標準報酬月額×保険料率

 

今回の質問は、そもそも、「標準報酬月額」についてなのか「保険料率」についてなのかで話が変わってきます。

 

おそらく質問者さんの関心は「自分のお金からいくら保険料が引かれるか」ということでしょうから、まずは結論から。

 

「厚生年金の額は人によって変わります。」

 

根拠を説明しますね。

 

厚生年金の構成要素である「標準報酬月額」は、原則、毎年4〜6月に受け取った報酬をもとに計算されます。

 

そして、計算された額はその年の9月から1年間適用になります。

 

原則とつけたのは、一定の要件を満たすと、年の途中で変わることがあるから。ややこしいので、今回は割愛しますね。

 

つまり、いくらあがるかは質問者さんの給与明細を見ないと分からないということ。

 

これを知っておくだけで「厚生年金はいくらあがるの?」と、知り合いに質問することが、あまり意味のないことだとわかっていただけると思います。

 

 

 

 

厚生年金の「保険料率」の話

 

次に、保険料率について。

 

最近、「厚生年金の保険料率段階的引き上げ」の話題を耳にする機会が多いと思います。

 

理由は、平成29年度が一つの区切りの年だからです。

 

厚生年金の保険料率は、平成16年の法改正により、段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月を最後に引上げが終了し、これからの保険料率は18.3%で固定されるのです。

 

保険料率引き上げという話題を、今年初めて聞いたような気がするかもしれませんが、すでにかなり前から実施されていたこと。

 

今年は一方的に引き上げられる最後の年なので、よく聞く話題というだけなのです。

 

思うに、段階的引き上げという国民にとっては悪いニュースを毎年話題にすると、政権への信頼度が失われてしまいますが、今回は引き上げが終わるという話なので、大々的に話題にしているということかも。

 

悪いことはこっそりおこない、良いことは堂々とアピールする。政府に限らずよくある話です。

 

 

 

 

厚生年金はいつからあがるのか

 

ここで、2番の「厚生年金はいつからあがるのか」の質問も、そろそろ答えがでています。

 

標準報酬月額は、原則、毎年9月から変わるので、社会保険料翌月徴収の企業にお勤めなら、質問者さんの給与明細を見ると10月から保険料額が変わることになります。

 

今にはじまったことではなく、毎年そうでした。(多分、今までは気にもしていなかっただけでしょうが。)

 

保険料改定率の段階的引き上げという話であれば、それは、平成29年9月から18.3%に固定ということでしたね。

 

厚生年金がいつから上がるのかは、

 

上がるかどうかは人それぞれだけど、10月(または9月)の給与明細を見れば、何かしら変わっている可能性がある

 

ということです。

 

これまではほとんどの方が毎年度変わっていたであろう厚生年金保険料。

 

平成29年9月からは保険料率が固定になるので、たとえば昇給一切なしの固定給、残業も手当変動もないような人の場合は、去年と同じ保険料額が引かれることがあるかもしれません。

 

実際は、標準報酬月額表というものが毎年度更新されるため、月額表自体が変われば保険料額も変わることになりますが...。

 

高齢化社会が進む今保険料率を固定していいのだろうかという疑問も残りますので、今後何らかの法改正がおこなわれるかもしれませんね。

 

 

 

 

 

国民年金はどうか

 

 

実は、この質問者さんは言っていたのは、厚生年金の話なのか、国民年金の話なのかも定かではありませんでした。

 

保険料率の話なら厚生年金ですが、同じように段階的引き上げが国民年金でもおこなわれており、こちらは保険料額が引き上げられています。

 

まず、国民年金の計算方法は

 

保険料額×保険料改定率

 

となっています。

 

「保険料改定率」というのは、厚生年金の「保険料率」とは別もので、下記の構成です。

 

保険料改定率=前年度保険料改定率×名目賃金変動率(物価変動率×実質賃金変動率)

 

すでに「意味わかんない。」状態の方も多いでしょう。(わたしもハテナがいっぱい飛びます)

 

ここは、現役バリバリの社労士受験生でも苦戦するところなので、あまり気にしないでください。

 

政治家や経済学者たちに任せましょう。

 

国民年金の計算を簡単に言うと、

 

もともと法律で「保険料額」は決まっていて、それに、そのときの景気に合わせた変動が考慮されて、最終的に個人が負担する額が決まるということです。 

 

段階的に引き上げられていたのはこの「保険料額」部分ですね。

 

肝心の国民年金の保険料ですが、

 

平成29 年度の国民年金保険料額は16,490 円(月額)で、平成28 年度から230 円の引上げでした。

 

確かに上がっているのですが、こちらも今に始まったことではなく、平成16年の制度改正で、平成29年度まで毎年280円ずつ 引き上げられてきました。

 

(毎年280円ずつ引き上げられているのは「保険料額」部分で、「保険料改定率」をかけた結果、平成28年度から29年度の引き上げは230円におさまったということです。)

 

国民年金についても、平成29年度で段階的引き上げは終了です。

 

今後は、純粋に「保険料改定率」がどうなるかによって、国民年金保険料が上がるか下がるかが変わってきます。

 

平成29年度以降は、16,900円に保険料改定率をかけたものが、個人が負担する保険料額となります。

 

ちなみに、平成30 年度の国民年金保険料額は16,340 円(月額)で、平成29 年度から150 円の引下げとなっています。(前納の関係で、すでに平成30年度分が計算されています。)

 

参照:日本年金機構

 

 

 

 

おまけ:税金や社会保険の質問をするときの注意点

 

実は今回の質問は、

 

よくわからない友人→よくわからない質問者さん→わたしの知人→わたし

 

 

という流れで質問が届いてきたので、何を聞きたいのかがわかりにくく、めちゃくちゃでした。

 

社会保険や税金の質問は、質問する人が誤解した状態で聞いてくることが多く、そこを紐解きながら解説しないと正解にたどりつけないので、そこはいつも仕事でも難しいなと感じるところでした。

 

そもそも、どこからどこまでわかっているのか、こちらも質問し返す必要があるのです。

 

もし、みなさんが社会保険や税金でよくわからないことを質問するときは、よくわからない相手に聞くのではなく、ぜひお役所か税理士さん、社労士さんなど、よくわかる人に直接聞いてくださいね。

 

ご自身の貴重な時間の無駄になってしまうので...。

 

というわけで、以上「厚生年金保険料率の段階的引き上げの話。平成29年度で一区切りだよ」でした!

厚生年金保険料率の段階的引き上げの話。平成29年度で一区切りだよ 関連ページ

「夫の扶養に入る」は2種類あるって知ってる?税扶養と社会保険扶養の違いを解説!
退職した後にも「傷病手当金」がもらえる!制度の概要と注意点を解説
パートの掛け持ちは残業代がもらえず損だからしない方がいい?理由や実態を解説
パートの掛け持ち、社会保険はどうなるの?加入の要件や手続き先、保険証など疑問を解説
4〜6月に働き過ぎると社会保険料が高くなるのは間違いです!無駄なことしないでね
国民健康保険料はどう決まる?社会保険みたいに4〜6月給与は関係ないから注意
離婚しても旦那の年金半分もらえるんでしょ?と安心している人は注意
残業代は正しく計算されている?覚えておきたい端数の計算方法
会社をやめるときに気を付けたいお金の話。最後の月の給与はほとんど手元に残らないよ!
国民年金保険料を何とか安く払いたい!おすすめの支払方法とは
子供がいて離婚が決まったら真っ先にするべきこと
サラリーマンの妻が一番お得?社会保険料がゼロでも年金がもらえるカラクリとは?
再就職までの命綱、解雇予告手当とは?
失業手当の申請は退職前の準備が大切。退職から実際の支給開始までの流れとは?
国民健康保険と任意継続保険、どちらが得?退職予定がある人は早めに確認を
有給?無給?生理休暇を取得する女性が少ない理由

HOME プロフィール ご挨拶 最新情報