国民健康保険と任意継続保険、どちらが得?退職予定がある人は早めに確認を

国民健康保険と任意継続保険、どちらが得?退職予定がある人は早めに確認を


 

「国民健康保険と任意継続、どちらが得ですか?」

 

この質問はお勤め先を退職される方からよく聞かれる質問です。 

 

今回はこの質問についてできる限りかみ砕いてお答えしていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

国民健康保険料は自治体によって異なる

 

まず、国民健康保険料の計算方法について簡単に解説します。

 

国民健康保険、いわゆる国保(こくほ)は自治体が運営しています。

 

ですから、国保の保険料を算出すると言っても、その計算方法は各市区町村で異なります。

 

しかも、その算出方法は複雑です。

 

・世帯所得に応じて計算される「所得割」

 

・世帯人数に応じて計算される「均等割」

 

・一世帯につき加算される「平等割」

 

・所有資産に応じて計算される「資産割」

 

 

など、加算されるものも市区町村によって異なります。

 

そしてさらに

 

・医療分

 

・介護分(※40歳以上65歳未満の加入者が負担)

 

・後期高齢者支援金分

 

 

という風に、区分ごとに掛け率や額が異なっています。

 

なかなか複雑なので、正確に計算しようとすると大変です。

 

確定申告の書類を引っ張り出してきて、自分と家族の所得の確認をするところからスタートです。

 

いっちょ計算してみようと思う方は、お住まいの市区町村のHPを見ると保険料の計算が記載されているので試してみても良いかもしれません。

 

正確ではなくても、大体の金額は分かると思います。

 

ちなみに、国保の保険料には上限が設定されているため(自治体によって異なる)際限なしに高くなってしまうということはないです。

 

私の住んでいる自治体の上限(すべての区分の合計)は年間89万円でした。この場合ならどんなに高くても毎月約7万5千円の保険料で済むという計算になります。

 

 

 

国民健康保険料の額を簡単に知るには?

 

 

では、国保の保険料を簡単に知るにはどうすれば良いでしょうか?

 

それは、区役所等の窓口に聞きに行くことです。

 

直接窓口に行くと、「国民健康保険仮計算結果」というものを出してくれます。

 

 

勤め先の会社の事務の方に聞いても、あなたの退職後の国保の保険料はわかりませんのでご自身で聞きに行ってくださいね。

 

たまーにこういう人がいます...。

 

聞きに行く際は二度手間にならないように、行く前に市区町村のホームページを見るか電話をして教えてもらうかして、持ち物を確認しましょう。
 
私が住んでいる自治体では、前年の源泉徴収票と身分証明書、これだけで算出してくれました。

 

ご家族の分を知りたい場合は委任状か身分証明書があれば教えてくれる自治体もあります。

 

 

 

 

任意継続保険の保険料はどのように計算するのか

 

 

では続いて、任意継続保険の保険料についてです。

 

任意継続保険とは、退職しても、退職する前の会社の健康保険に2年間は入っても良いですよ、というものです。(というか、一度入ると2年は他の保険に変更できません。

 

ですから、保険料は単純に今まで毎月払っていた保険料の2倍なります。

 

これまでは、会社があなたの保険料の半分は負担してくれていたのですが、さすがに退職者の分までは負担してくれない、ということです。

 

退職前の給料明細を見て、健康保険料の金額に2をかけてください。

 

それが、あなたが任意継続保険に加入した場合の保険料です。

 

ちなみに、任意継続保険は、あくまでも健康保険の制度です。

 

厚生年金はこういった制度はありませんので、退職後は国民年金の保険料をご自身で払ってくださいね。

 

ときどき、厚生年金も継続できると勘違いしている方がいて、できないと伝えるとびっくりされますので...。

 

ただし、大事なポイントとして、任継にも保険料の上限額があります。

 

任継を含む社会保険の健康保険を計算するには、「標準報酬月額」と呼ばれる毎月の給与のランクのようなものがあるのですが、例えば「協会けんぽ加入の場合」では、その上限が28万円とされています。
※H29.4現在

 

例えば

 

・協会けんぽ加入

 

・京都市内の会社勤務

 

・標準報酬月額50万円

 

・45歳

 

 

の人の場合、毎月の健康保険料は29,100円でした。※H29.3分 参照:協会けんぽHP

 

このまま2倍にすると58,200円が任継の保険料だと思われますが、上限が適用されて28万円の標準報酬月額になるので、任継の保険料は32,592円(16,296円の2倍)になります。

 

これはどういうことを示しているのかというと、

 

毎月高い給与をもらっていた人は任継にすることで、上限が適用されてお得になる可能性があるということです。

 

ただし注意も必要で、

 

・上限は加入している健康保険組合によっても異なる

 

・任継は一度加入したら2年は抜けられないので途中で変更できない

 

・退職して収入が大きく下がる場合は国保の方が結局お得ということもある

 

 

など、簡単に決めるべきではない理由もあります。

 

ちなみに某大企業の健康保険組合では標準報酬月額の上限は44万円でした。

 

ご自身が加入している健康保険組合の上限と退職後の収入がどうなりそうかは確認する必要があります。

 

 

 

任意継続を希望するには早めに手続きが必要

 

 

任意継続保険に入りたいと思っても、退職後20日以内に申請しないと、任意継続に加入することはできません。

 

退職して少しゆっくりしてから各種手続きをしようとすると選択肢がなくなっていますから注意が必要です。

 

以前、退職後ちょうど20日目に任意継続に入りたいと言ってきた方がいました。

 

申請が20日以内でしたので、その日のうちに書類の提出があれば私の勤務先では受付けできるとのことでした。

 

ただその方は退職後お引越しをされていて書類の提出がその日のうちにできなかったため、任意継続に加入することはできませんでした。

 

所属の健康保険組合などによってどこまで厳しくしているかは分かりませんが、20日というラインは厳格に守られていることが多いようです。

 

 

 

給付ベースだとどちらが得?

 

続いて、保険料ではなく給付で考えると国保と任継のどちらが得なのかについてです。

 

 

国保の場合

 

国保に加入した場合、受けられる給付の主なものは会社の健康保険に加入していたものと大きくは変わりません。

 

もっとも身近な給付である病院の受診料であれば、国保の保険証を病院の窓口で提示することで、会社勤めのときと同様に3割負担で受けることができます。

 

その他出産育児一時金の42万円や、医療費が高額になってしまったときの高額療養費もちゃんとあります。

 

ただ、出産手当金や傷病手当金などは国保では支給されないという違いはあります。

 

なぜならこれらは所得保障といって、働けなくなったときに所得がなくなった場合に、生活費を保障してくれるためのものだからです。

 

退職した人が働けなくなったときの所得の保障まではしてくれません。

 

サラリーマンは恵まれてると言われる所以です。

 

その他、加入していた健康保険組合等で特別な付加金などがあったという場合は、国保では給付されないことになります。 

 

 

任意継続の場合

 

任意継続の場合、基本的には、以前加入していた健康保険ですから同じ給付を受けることができます。

 

ですが、国保と同様、傷病手当金、出産手当金は受けることができません。

 

ただし、任意継続の特徴としては、傷病手当金と出産手当金を退職時に受けている人は、資格喪失まで(退職するまでに)1年以上、被保険者であれば継続給付を受けることができます。

 

また、加入の健康保険組合等で特別な付加金などがあった場合は、国保では受けられませんが任継ならば受けられます。

 

なので、給付ベースで国保と任継でどちらかが得になるとすれば、

 

この継続給付の対象になる人や、加入の健康保険組合等で独自の給付・付加金などがある場合です。

 

つまり給付ベースで言うと、会社員勤めのときに近い給付を受けられる任意継続の方がお得になる可能性があるということです。

 

あくまでも可能性なので、継続給付の対象外、特に独自給付などがない健康保険組合等だったという場合は国保でも任継でも変わらないということになります。

 

 

 

 

結局、どちらが得なのかはその人次第

 

保険料については以下のとおり

 

国民健康保険...所得や世帯人数によって異なるので仮計算依頼をする

 

任意継続...今まで払っていた健康保険料の2倍(ただし上限あり)

 

 

この二つを比較して検討しましょう。

 

給付については、前述したように、ご自身の状況によって異なります。

 

傷病手当金や出産手当金などが絡む方は任継の方がお得になることがありますが、任継には2年の縛りがありますから慎重に検討せねばなりません。

 

 

 

難しいけど...最低限これだけはしておこう

 

国保と任継、どちらがお得かは、保険料(支払うもの)と給付・付加金(もらえるもの)の両方と、退職後の収入がどうなるかなどを踏まえて総合的に判断する必要があります。

 

どちらが良いのか分からないという場合は最低限以下のことはされると良いと思います。

保険料(支払うもの)の確認

 

1.区役所等の窓口で国保の保険料の仮計算を依頼する

 

2.今までもらっていた給与明細を見て健康保険料の額の2倍を算出する(上限注意)

 

3.1と2を比較する

 

 

給付・付加金(もらえるもの)の確認

 

1.総務課など担当部署に行って、加入している健康保険組合で独自給付があるか聞いてみる

 

2.同部署で、自分が出産、傷病手当金などの継続給付の対象になり得るのか確認する

 

 

 

ここまで自分で調べるとどちらが良いか判断できるケースが増えてきますが、結局は退職後の収入がどの程度なのかによっても年間ベースでどちらがお得か変わってきます。

 

ちなみに私が28歳のときに前の会社を退職したときは

 

標準報酬月額28万円未満

 

出産、傷病一切関係なし

 

収入大幅ダウンの想定あり

 

 

という、ごくごく一般的な若者にありがちな状態だったので、任継に入る意味が全くなく国保を選択しました。

 

 

 

最後に

 

いかがでしたか?

 

国保と任継がどちらがお得って、けっこう難しい問題だということがお分かりいただけたのではないかと思います。

 

高収入でもなく体もなんともなく、退職して収入が大幅に上がる見込みがないという人は国保を選択される人が多いと思います。(なんてざっくり...

 

なかなか難しいですが、ぜひ慎重にそして早めに(任継の期限があるので)考えてみてくださいね。

 

以上「国保と任継、どちらがお得?」でした!

 


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