雇用保険に加入していなくても育休は取得できるよ。条件や適用法律の違いを解説

雇用保険に加入していなくても育休は取得できるよ。条件や適用法律の違いを解説


 ※この記事は2018/8/5に執筆しました。

 

先日、知人との会話の中で「わたし、雇用保険に加入していないから育休取得できないんですよね。」といった言葉がでてきました。

 

育休を取得するためには、雇用保険に加入している必要がある。

 

こう思っている方がいるようなのですが、実は違います。

 

雇用保険に加入していなくても、育休を取得できることがありますよ。

 

というわけで今回は、育休取得の条件についてのお話です。

 

適用法律や制度上の違いなども含めて紹介します。

 

 

 

 

 

※この記事で書いてあること

育休の取得を定めている法律とは
育児休業と育児休暇の違い
育休を取得するための大前提
育休を取得できる人の条件
では、雇用保険は何をしてくれるところ?
産休との違いも押さえておこう
育休中のお金の出所と適用法律まとめ
最後に

 

 

 

 

育休の取得を定めている法律とは

 

育休について定めている法律を「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」と言います。

 

長いので、「育児・介護休業法」と略して呼ぶことがほとんどです。

 

この時点で、育休を取得するためには、雇用保険の加入有無が関係のないと予想できます。

 

適用法律が違うので、別の話だというわけですね。

 

ちなみに、雇用保険については「雇用保険法」という法律があります。

 

実際問題としては、さまざまな法律の適用を受け、休業や給付を受けることになるため、何がどの法律で守られていることなのかは、分かりにくいと言えるでしょう。

 

・育休について定めた法律...育児・介護休業法

 

・雇用保険について定めた法律...雇用保険法

 

 

 

 

 

育児休業と育児休暇の違い

 

「育休」とひとくちにいっても、育児休業と育児休暇では意味合いが異なります。

 

育児休業とは、「育児・介護休業法」という法律に基づいた休業です。

 

国で定められた条件を満たした人が取得できるものです。

 

育児休暇とは、育児のための休暇なので、特に法律はありません。

 

たとえば、大企業のように福利厚生が充実している会社だと、「育休を3年取得する」といったケースがあります。

 

この場合、基本的には、1年間は法律に基づいた「育児休業」を取得し、残りの2年は会社規則に基づいた「育児休暇」を取得していることが多いでしょう。

 

法律では、育休の取得は原則1年ですが、会社が福利厚生の一環として2年延長することは、労働者にとって良い取り扱いなので、特に制限すべきものではないからです。

 

・育児休業...育児・介護休業法による休業

 

・育児休暇...会社規則や一般論的に呼ばれる休暇であり、法律の適用を受けない

 

 

 

 

育休を取得するための大前提

 

ここで、法律上の育休について、取得条件を解説します。

 

法律上の育休なので、育児休暇ではなく、育児休業のことですね。

 

法律では、1歳に満たない子供を養育する労働者(男女問わない)は、会社に申し出ることにより、子供が1歳になるまで(原則)の希望する間、育児休業を取得できます。

 

まずは、

 

・1歳に満たない子供を養育している会社員であること

 

・会社に申し出る必要があること

 

が大原則ですね。

 

 

 

 

育休を取得できる人の条件

 

 

「育児・介護休業法」では、育休を取得できる人の条件を定めています。

 

会社勤めをしていれば、誰もが取得できるわけではありません。

 

育児休暇を取得できる人との違いも確認しましょう。

 

 

期間の定めのない労働者の取得条件

 

まずは、期間の定めのない労働者について見ていきましょう。

 

期間の定めのない労働者とは、一般的には正社員のことを指すことが多いですね。

 

期間の定めのない労働者については、労使協定の締結を条件に、以下の人を除外することが可能です。

 

1.入社1年未満の労働者

 

2.申し出の日から1年以内に雇用期間が終了する労働者

 

3.1週間の週所定労働日数が2日以下の労働者

 

労使協定がなければ、入社1年未満だろうと、週所定労働日数が2日以下だろうと、事業主は労働者の申し出を断ることができません。

 

たとえば、入社してすぐに妊娠した労働者から育休を申請されたら、事業主は拒むことができないわけです。

 

中小零細企業で、法律のことがよく分からないという社長さんだと、労使協定を結んでおらず、労働者に申請されてから慌てる、といったことがあります。

 

すでに育休取得が一般的になっている現在では、多くの会社で労使協定が締結されているはずです。

 

 

 

 

期間の定めのある労働者の取得条件

 

次に、期間の定めのある労働契約で働く方の要件を見ていきましょう。

 

期間の定めのある労働者とは、契約社員や派遣、パートさんなどが該当しますね。

 

平成29年10月より変わっている内容なので、以前と比べて条件が緩和されています。(平成30年8月現在の情報です。)

 

1.同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている

 

2.子供が1歳6ヶ月になる前に契約満了することが確実でないこと

 

1は分かりやすいですね。

 

期間の定めがある労働者の場合は、1年以上勤務していないと育休の対象ではないので、入社数ヶ月で育休を申請することはできません。

 

有期雇用の場合は、労使協定の有無は関係なく、1年以上の雇用が必要です。

 

2は、たとえば、契約書に「契約更新の可能性あり」などと書かれていれば、契約が満了するかもしれないし、契約が更新されるかもしれません。

 

子供が1歳6ヶ月になる前に契約満了することは確実とまでは言えませんので、育休の対象者となります。

 

なお、日々雇用される労働者についても育休の対象外です。

 

 

 

 

育児休暇の取得条件

 

法律上の育児休業ではなく、「育児休暇」については、企業の就業規則によります。

 

法律上の育児休業のみしか認めていない企業もあれば、独自制度として長期の育児休暇を認めている企業もあります。

 

現実的な運用としては、育児休業の取得条件とほぼ同じ内容で、育児休暇の取得条件を定めているところが多いと思います。

 

あくまでも育児休業の取得条件を満たす人に対して、追加での休暇取得を認めているという感じですね。

 

なお、タレントさんが取得する育休は、タレントさんは労働者ではないところから、就業規則も何もありませんので、所属事務所との契約による、という感じでしょうか。

 

育児のために勝手に休んだとしても、育児休暇であることに変わりはありません。

 

一般的な会社員の育休とは少し違いますね。

 

 

 

【ひとやすみコラム:看護師はやっぱり強い】

 

わたしが以前勤務していた職場では、育児休暇が最長3年まで認められていました。

 

病院だったので、看護師さんのように専門スキルがある方は、3年取得している方も多くいましたね。

 

3年休んで復帰しても、病院は看護師不足なので、病院としては「3年休んでいいから辞めないで復帰してね!」という感じです。

 

逆に、事務員は3年も育休を取得すると、復帰したときには浦島太郎状態ですし、看護師のように人材不足ということもないため、きっちり1年で復帰する人が多かったです。

 

事務員は人気職なので、募集をかければすぐに代替要員が見つかりますしね。

 

制度上は3年取得できたのですが、現実問題として3年も取得できる勇気がない人がほとんどでした。

 

ぶっちゃけ、3年も取得すると職場に居場所がなくなるのが事務員の辛いところです。

 

 

 

 

では、雇用保険は何をしてくれるところ?

 

 

ここまでは、「育休を取得するための条件」の話でした。

 

では、なぜ「雇用保険に加入していないと育休が取得できない」という誤解が生まれているのでしょうか。

 

それは、育休取得中には、「育児休業給付金」というお金が、雇用保険から支給されるからです。

 

育休を取得する人の大半が、雇用保険からの給付金をもらいながら育休中の生活費をまかなうため、誤解が生じると考えられます。

 

 

 

 

 

育児休業給付金の支給条件

 

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が育児休業を取得した場合に、

 

休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上ある

 

ことを条件に支給されます。

 

ごく簡単に言えば、育休を取得する前の2年間に、普通に毎日働いて給与を得ていた月が1年あれば良い、ということです。

 

これは、勤続2年が必要ということではなく、入社1年であっても、その間のすべての期間で11日以上賃金の支払いがある完全月であれば構わないのです。

 

わたしが経験した例だと、入社11ヶ月で妊娠した正社員の女性が育休を取得し、育児休業給付金を受給したことがありました。

 

妊娠時点では勤続11ヶ月でしたが、産休を経る頃には1年を超えており、ギリギリ育児休業の対象にも、育児休業給付金の対象にもなったからです。

 

 

 

 

 

育児休暇中は給付金をもらえない

 

ここでの支給要件は、「育児休業を取得した場合に」なので、育児休暇は対象外です。

 

たとえば、会社で3年の育休を認めている場合、最初の1年は法律上の育児休業取得期間なので、育児休業給付金も対象になります。

 

残りの2年は、法律の適用外の休暇になるため、原則育児休業給付金は支給されません。(保育園に入れず仕方がなく休む場合などは別です。)

 

わたしがいた病院でも、看護師さんが1年間は給付金をもらいながら休み、残りの2年は無給で休む、ということがありました。

 

もちろん、残りの2年について、会社で賃金を支給してくれる規定があれば良いですが、そこまで優しい会社は少ないでしょうね。

 

業績の良い大企業なら考えられますが。

 

・子供が1歳までの育休…雇用保険から育児休業給付金をもらえる

 

・子供が1歳〜3歳までの育休…無給か、会社の恩恵でお金をもらえる

 

参照:ハローワーク

 

 

 

 

育児休業給付金はいつまでもらえる?

 

育児休業給付金の支給期間は、原則1年間です。 (子供の誕生日の前々日まで)

 

子供が1歳になる前に職場復帰をしていれば、復帰日の前日までです。

 

あくまでも、子供を養育中に賃金を得られない人のための給付金ですからね。

 

ただし、一定の要件を満たす場合(保育園に入れない、配偶者の死亡など)は、最大で1歳6ヶ月や2歳まで延長ができます。

 

 

 

 

雇用保険の適用になる人

 

ここで、雇用保険の適用条件も確認します。

 

雇用保険に入るためには、

 

・31日以上引き続き雇用が見込まれる

 

・週の労働時間が20時間以上

 

が必要です。

 

ではもう一度、育児・介護休業法による、育児休業を取得できる人の条件を確認しましょう。

 

・入社1年未満の労働者

 

・申し出の日から1年以内に雇用期間が終了する労働者

 

・1週間の週所定労働日数が2日以下の労働者

 

上記の人は、労使協定を条件に、適用除外となりましたよね。

 

比べてみると、雇用保険の適用範囲と、育児休業の適用範囲には、特に連動性がないことが分かります。

 

たとえば、週の労働時間が15時間だと雇用保険では適用除外ですが、労働契約上、1日5時間×3日で週所定労働日数が3日であれば、育児休業における労使協定の除外に該当しません。

 

無期雇用であれば、労使協定がなければ、原則育児休業を取得できますしね。

 

実際、雇用保険には入っていないパートさんで、無給ながらも育児休業を取得した人はいましたよ。

 

給付金は対象とならないので、総務課としてやるべき手続きはほとんどありませんでしたが。

 

............................................................................

 

いったん、ここまでの内容をまとめると

 

雇用保険に入っていなくても、育児休業も育児休暇も取得できることがある

 

ということです。

 

 

 

 

産休との違いも押さえておこう

 

産休と育休との違いも解説します。

 

産休を取得したら、そのまま育休に入っていく方は多いと思います。

 

そのため、産休も育休も同じようなものだと捉えてしまいがちですが、全く別ものです。

 

雇用保険に入っていないと、産休が取得できない。

 

と言った人がいましたが、これも大きな間違いです。

 

そもそも産休とは、雇用保険法ではなく、労働基準法で定められた制度です。

 

雇用保険に入ろうが、正社員だろうが、パートだろうが、派遣だろうが、会社に雇われている女性なら誰でも取得できます。

 

産休は、産前と産後に分けて考えます。

 

産前休業は、労働者が出産予定日の6週間前から請求すれば、取得できます。

 

産前については、労働者の請求が必要なので、働きたければ働いてもいいのです。出産ギリギリまで働く方、いますよね。

 

産後休業は、出産の翌日から8週間は就業できませんので、必然的に産後休業になります。

 

労働者の請求はいりませんので、事業主は母体保護のためにも必ずお休みさせなくてはなりません。

 

なお、産後6週間を過ぎていれば、本人の請求と、医師の許可があれば就業できます。

 

 

 

 

 

 

産休中の賃金

 

産休中の賃金については、労働基準法のノーワークノーペイの原則により、会社からは特に賃金がでなくても法律上問題はありません。

 

ノーワークノーペイとは、働いていないので、もらえるものもない、というシンプルな理論です。

 

総務課で働いていたとき、妊娠された方に制度の説明をする際、「産休中には給与がありません。」と伝えると驚く人がいましたが、働いていない間に給与がでなくても、会社を責めることはできません。

 

ただし、産休中は、健康保険からの出産手当金がでます。

 

もちろん、健康保険の加入が必要です。

 

健康保険に未加入の人は、産休は取得できますが、出産手当金はもらえないことになります。

 

健康保険に未加入で会社勤めをしているということは、そもそもどなたかの扶養に入っているかと思うので、出産手当金がなくても生活できるという前提があります。

 

 

 

 

育休中のお金の出所と適用法律まとめ

 

ここまでの内容をまとめます。

 

【育児中のお金の問題】

 

・産休中のお金…健康保険からの出産手当金がもらえる

 

・育児休業中のお金…雇用保険からの育児休業給付金がもらえる

 

・育児休暇中のお金…法律の適用外なので、会社による

 

 

【適用法律・制度】

 

・産休…労働基準法

 

・育児休業…育児・介護休業法

 

・育児休暇…就業規則や労働契約など

 

・育児休業給付金…雇用保険法

 

・出産手当金…健康保険法

 

 

 

 

最後に

 

いかがでしたか?

 

今回は、育休の取得条件や、育休中のお金がどこから出るのかというお話でした。

 

育休を取得できるのか、育休中にお金がもらえるのかは、人により異なります。

 

それは、労働時間や雇用形態などにより、どの保険に加入しているかが変わるからですね。

 

このあたり、けっこうややこしいですが、総務課などで説明してもらえるはずなので、自分はどうなのかを確認してみてくださいね。

 

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