給与の支払い日が土日祝と重なったら後にしにしてもいいの?法的な取り扱いは?

給与の支払い日が土日祝と重なったら後にしにしてもいいの?法的な取り扱いは?


  ※この記事は2018/2/11に執筆しました。

 

今回は、お給料の支給日についてのお話です。

 

きっかけは、わたしの知人からの質問です。

 

知人は労働基準法についての知識もあり、会社への不満も感じながら働いている、ごく一般的なタイプの労働者です。

 

知人の会社では、毎月の給与支給日が25日なのだそうですが、25日が土日祝になる場合、給与の振込が26日や27日に「あと倒し」されるとのこと。

 

これについて、法的にアウトではないのか、という質問でした。

 

確かに、楽しみにしている給料日が、カレンダーによって後になるのは困ると感じる方もいるでしょうね。

 

法律上はどのような取り扱いになっているのでしょうか。

 

 

 

 

 

給与支払日に関する法律について

 

 

みなさんのお勤め先では、毎月何日に給与の支払いがされていますか?

 

当たり前のように給料日がきますが、実は給与の支払い日にもきちんとした法律上の決め事があります。

 

労働基準法第24条第2項にはこんな条文があります。

 

賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金については、この限りでない。

 

ここには2つの意味が込められています。

 

「毎月一回以上」というのは、毎月1日から末日までの少なくとも1回は支払が必要であるということです。

 

たとえば年俸制の場合、1年に1回払えばいいというものではなく、年俸の金額を12で割るなどして月に1回は支払うことが必要となります。

 

さらに、「一定の期日を定めて」とは、その支払いサイクルのことを指します。

 

毎月一回だけと定めてあると、たとえば3月の給与を1日支払い、4月の給与を30日に支払うことだって文面上は可能になってしまいますよね。(3月も4月も支払自体はされています。)

 

しかしそんなことをされては当然、従業員の生活は成り立たなくなります。

 

毎月25日払い、毎月15日払いとか、一定のサイクルによって支払わなくてはならないということです。

 

冒頭の知人の「法的にアウトでは?」との質問は、給与支払日が土日祝の場合に支払を後にすることは、

 

そもそも支払いサイクルが延びてしまっており、毎月一定払いの原則に反しているのではないかという疑問です。

 

 

 

 

 

給与の支払い日が締め日より後になることってある?

 

実際問題として知人の会社では給与の支払い日のあと倒しが起きているわけですが、他の会社はどうなっているのでしょうか。

 

正確なデータを取ったわけではありませんが、一般的には給与の支払い日と土日祝が重なった場合、前倒しにする会社が圧倒的に多いように感じます。

 

わたしが税理士事務所でクライアントの給与計算を担当していたときや、自分の転職経験から思ったことです。

 

従業員にとって非常に大切な給与というものの支払を先延ばしにするという行為は、法知識が豊富な労働者が増えた現代において、何らかの不満やトラブルにつながらないとも限りません。

 

従業員からの余計な不満はない方が企業にとってはいいことですから、こうした処置になっているのかもしれません。

 

ちなみに、25日が支払い日の場合、あと倒しにされる月が年に何回あるのかというと、(25日が土日祝にあたる月)2018年の場合は4回でした。

 

全体の1/3にあたる月が本来の支払い日より後にされるということは、やはり不満につながりやすいとは思います。

 

 

 

 

 

そもそもなぜ支払い日を後にする必要があるのか

 

 

そもそもなぜ会社は、支払い日を前倒しではなくあと倒しにする必要があるのでしょうか。

 

「会社なんだから早く払えばいいじゃん!ケチだね!」と思いますよね。

 

冒頭の知人も、毎月給与の締め日がなぜ前倒しではなくあと倒しになるのか、経理担当の方に質問したことがあるそうです。

 

経理担当は別に経営者ではないので会社規定に従うしかありませんが、返ってきた答えは

 

「会社には資金繰りというものがあって、経費の支払い日はギリギリにした方がいい。会社がいざというときのために、保有資金はできるだけ多い方がいいから。」

 

ということでした。

 

私は経理課にいたことがあり、言っていることは分からなくもありませんが、労働者にとっては決して納得できるものではないでしょう。

 

会社がいざというときのために保有資金を多くしておきたいとは、つまり会社がいざというときには、従業員の給与は払わなくてもいいとでも言っているような気もします。

 

実際、その会社は経営陣が同族で、従業員のことなど1ミリも考えていない体質なのだそうです。

 

あたかも正当な理由があるからのような言い方をしていますが、そもそも経営陣の考え方として、従業員の給与はできるだけケチりたい、できればタダ働きさせたい、そんな思いも見えてしまいます。

 

 

 

 

 

給与支払日のあと倒しは法的にどうなのか

 

 

では、いよいよ給与支払い日のあと倒しが法律上許されているのかについてです。

 

結論から言えば、給与支払日が土日祝の場合、あと倒しにすることは可能です。

 

ただ、どんな場合も許されているわけではなく、就業規則で定めておく必要があります。

 

就業規則で「給与支払い日が土日祝だった場合は翌日支払いになるよ。」と定めてあればOKですが、

 

「給与支払日が土日祝日だった場合は前日支払いになるよ。」と定めてあるのに、翌日払いにすることはできません。

 

あと倒しであることに不満がある方は、まずは就業規則を見るといいでしょう。

 

ただし、就業規則に規定がない場合、民法第142条の法則にもとづき、翌日支払いでもいいとされます。

 

民法第142条

 

期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

 

これらのことから、給与支払日が土日祝の場合に、支払い日よりあと倒しになることは、法律上許されており、この件に関して労働者側が訴えを起こして勝つことは難しいと言えます。

 

 

 

 

【コラム:なぜ民法?】

 

ところで、労基法に規定がないものごとの場合、「民法の一般原則に戻る」という考え方があります。

 

労基法と民法は違う法律です。

 

「労働者」の定義すら違いますが、なぜ民法の規定が適用されるのでしょうか。

 

それは、労働基準法は、民法を修正した特別法という位置づけだからです。

 

労基法は、民法で定められた雇用契約を前提としつつ、労働者をしっかり守ろうという観点から作られており、民法より狭い範囲で、深く定めてあります。

 

言い換えると、民間のさまざまな契約に関して定めた法律である民法は、労基法より適用範囲が広いのです。

 

労基法で規定がない場合には、じゃぁもっと広義の意味で使える民法はどうかなという考え方になるわけです。

 

会社での取り扱いについて「これって法律違反では?」と思ったとき、まずは労基法や労働契約法などの労働法を確認し、規定がなければ民法ではどうかなと考えてみるといいでしょう。

 

とはいえ、民法の範囲は膨大で明治制定の古い法律でもあるため、弁護士などの専門家でないと法解釈は難しいと言えます。

 

労働法の方が狭い分、シンプルで分かりやすいですね。

 

 

 

 

 

 

法律上は問題ないけどやっぱりおかしいと思う

 

 

法律上は問題ないとされている、給料日のあと倒しですが、個人的な考えとしては、少々無理があると思います。

 

今回質問をくれた知人の会社ではたまたま給料日が25日でしたが、毎月1日が給料日の場合はどうでしょうか。

 

5月1日が土曜日だった場合、5月2日は日曜日で、3〜5日は祝日になります。

 

この場合、本来1日にもらえるはずの給与が6日支給になり、5日も延びてしまいますよね。

 

 

5日って、かなり長いです。

 

毎月ギリギリでやりくりしている人にとっては死活問題となりかねません。

 

給与は従業員の生活を守るためのものであるはずなのに、会社の都合で後にするのはどうもすっきりとしません。

 

 

法律はいざというときに自分たちを守ってくれる大切なものですが、人間の心情としては、法律を守ればいいというものでもないでしょう。

 

このような漠然とした不満が積み重なり、優秀な人材が流出し、結果的には企業利益が失われてしまうという点は、経営者の方にはぜひ理解してもらいたいものです。

 

というわけで、以上「給与の支払い日が土日祝と重なったら後にしにしてもいいの?法的な取り扱いは?」でした!

 

 

 

 

 

自分の身を守るなら法律系知識はあった方がいい

 

机上の知識なんて何の役にも立たないと言われることがありますが、法律に関しては知識が身を助けることがあります。

 

わたし自身もブラック企業に勤めていたことがあり、法律も何もよく知らない経営者の下で働いていました。

 

何も知らなかった頃はただ「会社はそういうもの」と我慢していましたが、社労士合格してからは法律面から指摘することができるようになり、会社のコンプライアンスが進んだ部分がありました。

 

法律を学ぶには資格取得など明確な目標を設定することがおすすめです。

 

難しい法律を学ぶには目標がないと継続して勉強することができず、曖昧な知識になりがちだからです。

 

さらに、資格があれば自分の言っていることに説得力が生まれて「単に不満をもらしているだけの人」から、「法律に基づいて指摘している人」になれるというのもあります。

 

法律資格は今はオンラインで学べる時代ですので、予算やコース内容を比較しながらトライしてみてはいかがでしょうか。

 

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