「夫の扶養に入る」は2種類あるって知ってる?税扶養と社会保険扶養の違いを解説!

「夫の扶養に入る」は2種類あるって知ってる?税扶養と社会保険扶養の違いを解説!


  ※この記事は2017/12/11に執筆しました。

 

夫が正社員として働き、妻はパートとして家計を支える。

 

このケースの家庭は非常に多いのではないでしょうか。

 

ここで問題になるのが「夫の扶養に入るかどうか」。

 

「夫の扶養に入る」ってよく聞く言葉ですが、実はよく分かっていない人も多いと感じています。

 

事務職として10年以上働く間に

 

そもそも税金と社会保険がごちゃ混ぜになっている人

 

扶養という言葉を意識し過ぎてやみくもに働く時間を調整している人

 

 

いろいろな人と遭遇しました。

 

税金と社会保険の違いが分からないと、何かに困って役所等に質問するにしても、最短ルートで答えに到達することができません。

 

2つの違いをぜひ知っておきましょう。

 

そこで今回は、「夫の扶養に入る妻」が覚えておきたい、税金と社会保険の扶養の違いを解説します。

 

 

 

 

 

 

 

 

税金と社会保険の違いを説明できますか?

 

 

そもそも、税金と社会保険って似たようなものだと思っていないでしょうか。

 

「公的」「強制」「給与から引かれる」

 

これらのキーワードを見る限りでは共通点が多く、よく似ていると思いますよね。

 

管理人自身、社労士の勉強を始める前の20代前半までは、2つの違いを全く分かっていませんでした。

 

でも、両者は全く別ものなのですよね。

 

ここでは、税金と社会保険の違いを簡単に説明します。

 

「そんなことよく分かってるよ!」という方は読み飛ばしていただいていい部分になります。

 

 

 

 

税金って何?

 

税金とは、国や地方公共団体に納付するお金のことです。

 

税金の使い道が公共施設や公務員のお給料、子供たちの教育費などであることから、「国や自治体に払う経費のようなもの」とも言われます。

 

わたしたちが生活していくうえでの多くのことに税金が使われていますから、「税金を払う意味なんてない!」とは誰も言えないのです。

 

後述する社会保険も、一部は税金からまかなわれています。

 

ただし、人によっては税金から受けるメリットに差があるのも事実で、自分が負担した分が必ずしも自分に返ってくるとは限らない一面もあります。

 

公共施設の利用一つとっても、多額の税金を納めている高所得者と、非課税世帯とで利用に制限があるわけではありません。

 

自分がかけた分は自分に返ってくる(年金額が多くなったり、傷病手当金や失業手当の額が多くなったり)社会保険に比べて不公平感が生まれやすいとも言えますね。 

 

 

 

社会保険って何?

 

社会保険とは、病気やケガ、高齢や介護、失業などが起きたとき生活を保障する制度です。

 

社会保険は公的制度なので一般の生命保険や自動車保険とは大きく異なりますが、「保険」の意味は同じです。

 

何かが起きたときに、あらかじめかけておいた保険を使えるという点では、税金よりイメージしやすいかもしれませんね。

 

社会保険の世界だと「保険事故」なんて言ったりしますが、たとえば失業も社会保険的には「事故」になります。

 

失業という事故が起きたとき、あらかじめ雇用保険料を払っておくことで、生活を保つための失業手当を受け取ることができますよね。

 

社会保険は会社の健康保険や厚生年金だけでなく、もっと広い意味で言えば国民健康保険や国民年金も含まれるので、日本人は、何かしらの社会保険に加入していることになります。

 

 

 

 

管理人は税金と社会保険をこう覚えていた!

 

ここまでで、そもそも税金と社会保険の違いを何となくお分かりいただけたでしょうか。

 

まだ「よく似ていてよく分からない」という方は、裏技的に、管理人が社労士の受験生時代に思っていた違いを紹介します。

 

いろいろと語弊もあるので「イメージ」として捉えてほしいのですが、それは「税金は厳しくて、社会保険は優しい」ということです。

 

たとえば、最近多い事実婚。

 

内縁の妻と呼ばれる人たちは税法上の配偶者控除を受けることはできませんが、社会保険の扶養に入ることはできます。

 

相続についても同様で、内縁の妻は相続できませんが、社会保険の遺族年金を受け取ることは可能です。

 

ほかにも、税金と社会保険料を滞納した場合、税金と社会保険では税金の方が厳しく督促されますし、差し押さえの際も税金が優先されます。(もちろん、社会保険料も払わないとだめですが)

 

どちらも役割が異なるため単純に比較することはできませんが、こんな観点から違いを見てみるのも1つの方法かもしれません。

 

 

 

 

 

税金の扶養と社会保険の扶養は何が違うの?

 

 

では税金の扶養と社会保険の扶養は何が違うのでしょうか。

 

そもそも税金と社会保険が別制度であるから違うのはお分かりいただけると思いますが、さらに掘り下げて整理します。

 

 

 

税扶養は「控除対象配偶者」、社会保険扶養は「被扶養者」

 

一般的に妻が夫の税扶養に入ることは、配偶者控除を受けることを指します。

 

配偶者控除を受けられる人のことを「控除対象配偶者」と呼びます。

 

配偶者控除を受けると何が起きるかというと、妻自身の所得税がかからず、夫の税金も減るため、家計全体の税金が安くなります。

 

※妻自身の「住民税」は所得によってかかる場合があります。

 

一方、社会保険の扶養に入るのは、健康保険や厚生年金において、「被扶養者」となることを指します。

 

社会保険の被扶養者になれば、自らは保険料を払わなくても健康保険を利用できたり、年金をもらえたりします。

 

 

 

 

一番大きな違いは収入のライン

 

パート妻が夫の扶養に入るために「103万円以内に抑えて働く」なんてことを聞いたことはないでしょうか。

 

いわゆる「103万円の壁」と呼ばれるもので、給与のみで年間収入が103万円以内であれば、妻自身の税金もかからず、配偶者控除の対象になり、家計全体の税金を安くすることができます。

 

つまり、「103万円の壁」は、税金の扶養のことを言っています。

 

103万円の壁を血眼になって守る主婦の方も多いのですが、税金には「配偶者特別控除」と呼ばれる制度もあるため、103万円を意識し過ぎるのもどうかなと思います。

 

配偶者控除の対象となる103万円を超えて稼いでしまっても、141万円を超えなければ段階的に控除が受けられるので、それなりに節税になるからです。

 

むしろ、気をつけたいのは社会保険の扶養。

 

年間収入130万円未満という条件がありますし、社会保険の適用範囲拡大により、妻自身が社会保険に強制加入となるケースも増えてきました。

 

社会保険の扶養か、自分で入るかは実質的な負担では税金以上に差がでるのでは?と思います。

 

※参照:厚労省HP「社会保険の適用拡大」

 

 

 

 

税扶養の収入要件が変わります。

 

平成30年より、配偶者控除と配偶者特別控除の要件が変わります。

 

配偶者控除の収入要件はこれまでと同じく103万円ですが、配偶者特別控除の適用範囲が141万円から201万円となります。

 

これまで配偶者特別控除を受けられなかったパート主婦の方も控除が受けられるようになります。

 

節税のために働く時間を制限する必要は、これまで以上になくなるということですね。

 

もっと簡単に言えば、パート妻は税金の扶養をあまり気にしないでバリバリ働けばいいのです。(社会保険は気にした方がいいですが

 

 

 

 

夫が高収入だと税扶養には入れなくなる

 

平成30年より、配偶者控除の要件として「世帯主の年間合計所得が1000万以下(年収1220万円)」が加えられました。

 

これによって、夫がたくさん稼いでいる世帯にとっては節税効果が見込めなくなりました。

 

※参照:国税庁「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて」

 

 

 

 

税金は過去の実績、社会保険は未来の予定

 

税金と社会保険の扶養に入れるかどうかを判断する際、妻の収入要件を確認しますが、両者で大きく違う点が、「いつの収入か」です。

 

税金は、その年の1〜12月までの「実績」なので、すでに稼いだ分がどうかを確認します。

 

分かりやすいですよね。

 

社会保険は、その先1年間がどうかによって判断されます。

 

具体的には、離職票(失業した証明)や、パートの雇用契約書(この先いくら給与をもらうか)などの書類提出を求められます。

 

保険者によって求める書類も判断基準も変わってくるため、意外と曖昧な部分も多いです。

 

社会保険上、夫の扶養に入りたい場合は、夫が所属する企業の要件や提出書類をしっかり確認するようにしましょう。

 

 

【コラム:交渉すれば何とかなる?社会保険の扶養】

 

管理人の友人でありパート社労士として活躍されているAさんは、旦那さんの扶養に入るため働き方を調整していました。

 

自身の知識と実務経験から、「この働き方なら扶養に入れる。」と確信したうえで、旦那さんの会社で手続き。

 

しかし、旦那さんの会社の健康保険組合が扶養認定をしなかったのです。

 

おかしいと思ったAさんは健康保険組合に電話し、直接交渉。

 

Aさんの方が知識や経験で勝っていたのか、無事に扶養認定を勝ち取ることができました。

 

税金の場合は過去の実績で明らかにされるため交渉は難しいですが、社会保険扶養は覆ることがあります。

 

Aさんのように知識や経験豊富でないと直接交渉は難しいかもしれませんが、知識が身を助けることは多いため、知っておいて損はないということですね。

 

 

 

そのほかにも。税扶養と社会保険扶養のちがい

 

税金と社会保険の扶養については、主にここまでを押さえておけばいいかなと思いますが、細かい点では他にも違いがあります。

 

(適用範囲)

 

税金...6親等内の血族および3親等内の姻族

 

社会保険...3親等内の親族

 

(同居状態)

 

税金...原則同居

 

社会保険...親族の範囲によって同居の有無が異なる

 

(対象となる収入)

 

税金...失業手当や通勤手当の非課税部分等は含めない

 

社会保険...失業手当や通勤手当も含める

 

細かい違いは事務担当者の方が確認してくれるのでそこまで気にする必要はありませんが、実務的には割とネックになるのが「失業手当」です。

 

社会保険の扶養は失業手当をもらっていると入れないことも多いです。

 

妻が退職して夫の扶養になる場合などは、一旦扶養に入り、失業手当受給中のみ扶養から外れ、失業手当の受給が終わったらまた入る、みたいな面倒な手続きが発生します。

 

失業手当をもらう場合は、その間だけ自分で国民健康保険に入ったり、年金を支払う可能性もあると思っておきましょう。

 

社会保険の扶養に入ると保険料負担がなくなりメリットが大きいため、手続きの面倒くらいは許容しないと、ですね。

 

 

 

最後に

 

いかがでしたか?

 

今回は、税金と社会保険の扶養の違いについて解説しました。

 

夫婦共働きが当たり前の今は、労働者自身がしっかり知っておかなくてはならない知識と言えるのではないでしょうか。

 

以上「「夫の扶養に入る」は2種類あるって知ってる?税扶養と社会保険扶養の違いを解説!」でした。

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