退職した後にも「傷病手当金」がもらえる!制度の概要と注意点を解説

退職した後にも「傷病手当金」がもらえる!制度の概要と注意点を解説


  ※この記事は2017/12/9に執筆しました。

 

ケガや病気で働けなくなったとき、会社員なら「傷病手当金」という制度があります。

 

健康保険からお金をもらいながら会社員としての身分を存続できる有り難い制度ですが、実は退職後にも引き続きもらえることができるのです。

 

今回は、いざというときのために知っておきたい、退職後に傷病手当金を継続受給できるというお話です。

 

 

 

 

傷病手当金とは?

 

まずは、傷病手当金について簡単に説明します。

 

傷病手当金とは、「業務外」のケガや病気になって休業したときに、会社の健康保険から給付されるお金のこと。

 

「業務上」の場合は労災になるのでまた別の話になります。

 

ケガや病気で仕事に就くことができない場合にもらえるお金なので、働けない証明が必要になり、具体的には、医師の証明が求められます。

 

1日あたりにもらえるお金は、支給開始日以前の12ヶ月にもらった報酬平均の約2/3となり、最長で1年6ヶ月。

 

このほか受給要件がありますが、継続給付の説明の中でお話していきますね。

 

傷病手当金の全体像を把握していただけたでしょうか。

 

 

 

 

意外と知られていない「退職後の継続給付」

 

傷病手当金については、何となく聞いたことがある方も多いと思いますが、意外と知られていないのが、「退職後にも継続受給できる」という点です。

 

管理人も社会保険労務士の勉強で初めて知りましたし、周りの受験生たちも知らなかったと言っている人が多かったです。

 

ケガや病気で働けなくなった場合はまず休職して傷病手当金を受給するのが一番ですが、完治すれば復帰が前提ですよね。

 

しかし、場合によっては復帰したくない、もう会社を辞めたいと思うこともあるでしょう。

 

最近はメンタルヘルスの問題もあるため、(傷病手当金はメンタルの不調も対象です)退職を優先したいこともあると思います。

 

そのときは、退職後の生活をどう保つのかがネックとなりますが、国民健康保険からは所得補償は受けられません。

 

ケガや病気で退職したときは、そもそも働ける状態にないためハローワークからの失業給付も受けられません。(失業給付は働ける状態であることを前提として支給されます。)

 

ハローワークの制度としては「傷病手当」というものもあるのですが、(ややこしいですが、健康保険の傷病手当金とは別の制度です。)また別の機会にお話します。

 

この場合、自分で加入していた保険金を使ったり、預貯金を切り崩していくことになります。

 

そんなとき、傷病手当金の継続給付が受けられれば、ある程度生活は安定することになりますよね。 

 

参照:全国健康保険協会

 

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退職後に傷病手当金を継続してもらう要件とは?

 

 

退職後に傷病手当金を継続してもらうには細かい要件があり、下記のとおりです。

 

1.退職日までに1年以上の被保険者期間があること
2.退職日前日までに連続3日以上の労務不能期間があること
3.退職日に労務不能であること
4.退職日に傷病手当金をもらえる状態にあるか、すでに受けていること

 

ちなみに、退職後に健康保険の「任意継続被保険者」になる必要はなく、普通に退職して国民健康保険に加入すれば足りる話となります。

 

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次項からは、それぞれの要件について解説します。

 

 

 

 

1.退職日までに1年以上の被保険者期間があること

 

傷病手当金自体は、在籍中であれば被保険者期間にかかわらず受給できますが、「退職後の継続受給」については、退職日までに1年以上の被保険者期間が必要です。

 

被保険者期間とは、健康保険に加入していた期間です。

 

1日たりとも空いていてはダメなので、1年の間ずっと健康保険に加入していた実績が求められます。

 

今の会社で長く働いているとしても、パートから正社員になって、健康保険未加入→加入になった歴があるような人は特に確認しておきたいですね。

 

あと数ヶ月で被保険者期間が1年になるといった場合には、退職日をあと倒しにする方が有利になることもあるということです。

 

また、1年以上の被保険者期間は継続していればいいので、会社が違っていても健康保険に加入していればOKです。

 

健康保険の保険者(親のようなもの)が協会けんぽ(中小企業がメイン)と健康保険組合(大企業がメイン)になってもいいので転職歴があっても継続受給できる場合もあります。

 

 

 

 

 

2.退職日前日までに連続3日以上の労務不能期間があること

 

傷病手当金には「待期期間」というものがあり、連続3日労務不能でなければ受給権を得られません。

 

継続受給の要件としては「退職日前日までに」とあるのですが、これは、待期完成後4日目に受給権が発生するからです。

 

たとえば3/31退職の場合は、退職日の前日である3/30までに連続3日以上の労務不能期間が必要です。

 

(例)

 

3/29欠勤 3/30欠勤 3/31欠勤...待期完成後の4日目はすでに退職しているため、受給権が発生しません。

 

3/28欠勤 3/29欠勤 3/30欠勤 3/31欠勤...3/31に受給権を獲得しているため、退職後に継続受給ができます。

 

ちなみに、待期期間の3日は、労務不能でさえあれば公休日や有休日でもいいので、上記の例だと

 

3/28公休(土曜) 3/29公休(日曜) 3/30有休 3/31有休

 

でも、退職日に受給権を獲得し、継続受給できることになります。

 

 

 

 

3.退職日に労務不能であること

 

 

この3つめが超重要です。

 

退職日に労務不能であることとは何を意味しているかというと、退職日に出勤していないということになります。

 

退職日は最終勤務日として出勤し、挨拶周りや備品の片づけなどをおこなう人も多いと思いますが、それをやってしまうと退職日は出勤となり、退職後の継続受給ができなくなります。

 

それ以外の要件をすべて満たしていても、退職日のたった1日に出勤するだけで、です。厳しいですね。

 

タイムカードを押さなければよしにしてくれる会社もありますが、事務担当者や会社がどう捉えるかによって変わってしまうので、やはり出勤した事実は残さない方がいいでしょう。

 

退職日に会社に行かないことは、継続受給の絶対条件となると覚えておきましょう。

 

挨拶まわりや備品の片づけはできるだけ早めにやっておきたいですね。

 

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4.退職日に傷病手当金をもらえる状態にあるか、すでに受けていること

 

ここはケースによっていろいろありますので、わけて説明します。

 

 

在籍中にすでに傷病手当金を受けていた場合

 

分かりやすいのは、在籍中にすでに傷病手当金を受けていた場合です。

 

この場合は、1年6ヶ月に達していなければ残りの期間を受給することができます。

 

在籍中6ヶ月間もらっていたなら、あと1年は退職後にもらえるということですね。

 

 

 

在籍中には傷病手当金を受けていないが、受給権はある場合

 

分かりにくいのは、「退職日までに傷病手当金をもらえる状態にあったけどもらっていなかった。」ケースです。

 

たとえば、会社が傷病手当金の額以上の給与を支給してくれていた場合(レアケースですが)は、そもそも傷病手当金の支給はストップされているので、傷病手当金の支給日としてカウントされていません。

 

なぜなら、傷病手当金はケガや病気で働けない場合の「所得補償」の意味があるため、傷病手当金と給与は調整対象となるからです。

 

給与をもらっていれば生活に困ることはない(所得補償をする必要がない)ので、傷病手当金はでなくて当然というわけですね。

 

このケースだと退職後にまるまる1年6ヶ月の受給も可能ということになります。

 

よくあり得るのは、有休がかなり余っていたので、傷病手当金受給の前に有休消化していたケース。

 

この場合も、有休が3日以上連続していれば「待期3日」は完成しているので受給権自体は発生しています。

 

でも、有休はそもそも傷病手当金以上の給与がでているはずなので(有休はまるまる1日分、傷病手当金は2/3分なので)傷病手当金の申請は不要ですよね。

 

 

 

 

最後に

 

いかがでしたか?今回は、傷病手当金の継続受給についてお伝えしました。

 

傷病手当金の継続受給は、退職後で資格が喪失しているにもかかわらずお金がもらえる有り難い制度です。

 

退職して国民健康保険に加入すると、基本的に「所得補償」は受けられなくなるため、会社員時代の制度をうまく活用するといいでしょう。

 

ただし、要件はとても細かいですし、気をつけたい点もたくさんあるので、あらかじめ会社の事務課に相談に行って、もらい漏れのないようにしてくださいね。(ここ、本当に重要です!)

 

いざというときにはこんな制度があると知っておくと安心です。

 

家族や友人が困っているときにも教えてあげてくださいね。

 

以上「退職した後にも「傷病手当金」がもらえる!制度の概要と注意点を解説」でした!

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