パートの掛け持ちは残業代がもらえず損だからしない方がいい?理由や実態を解説

パートの掛け持ちは残業代がもらえず損だからしない方がいい?理由や実態を解説


 ※この記事は2017/11/5に執筆しました。

 

今回は、パートの掛け持ちをされている方の「残業代」についてのお話です。

 

※こちらの記事

 

では、パートの掛け持ちで2つ以上の会社で働いた場合の社会保険の加入要件などについて紹介しました。

 

そこで

 

「パートの掛け持ちは金銭的に損する、なぜなら残業代がもらえなくなる可能性があるから。」

 

「パートの掛け持ちをする時間と余力があるなら、1つの会社でがっつり働いた方がいいかもね。」

 

というお話をしました。

 

一体なぜなの?と思われた方もいらっしゃるでしょう。

 

というわけで今回は、掛け持ちで働くとなぜ残業代がもらえなくなるのか、その理由をお話します。

 

 

 

 

 

※この記事で書いてあること

パートの掛け持ち者が知っておきたい「法定労働時間」
パートの掛け持ちで法定労働時間を超えるのはどんなケース?
法定労働時間を超えて働かせた分は誰が割増賃金を払うの?
パートの掛け持ちで法定労働時間を超えてしまった場合、実際に割増賃金はもらえるのか?
ひとやすみコラム:いつから「残業代」がもらえるのか?
同じ時間働くなら掛け持ちより1つの会社の方がお得?
シフトに入りたくても入れない場合はどうする?

 

 

 

 

 

パートの掛け持ち者が知っておきたい「法定労働時間」

 

まずは大前提の知識として、労働基準法では、

 

「使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはならない」第32条

 

と定められています。

 

これが、「法定労働時間」と呼ばれるものです。

 

例外もたくさんあるのですが、今回はごく一般的なケースとして「原則」に沿って説明します。

 

会社が労働者に対して法定労働時間を超えて働かせる場合には、「時間外労働協定(36協定)」を結び、法律で定められた以上の割増賃金の支払義務が発生します。

 

参照:厚労省HP

 

 

 

 

 

 

パートの掛け持ちで法定労働時間を超えるのはどんなケース?

 

 

パートの掛け持ちを頑張ると、法定労働時間を超えて働く場合があります。

 

たとえば、下記の契約でパートの掛け持ちをしているとしましょう。

 

A社 1日5時間×5日=25時間

 

B社 1日4時間×4日=16時間

 

 

「1日」の法定労働時間で考える

 

1日について見てみます。

 

A社で5時間勤務し、その後B社で4時間勤務すると、合計で9時間です。

 

この日は1時間、法定労働時間を超えて働いています。

 

 

「1週間」の法定労働時間で考える

 

次は、1週間について見てみます。

 

1週間では41時間働くことになり、1時間、法定労働時間を超えて働いています。

 

この契約だと、1日でも1週間でも法定労働時間を超えて働いていますね。

 

超えた分は、会社が割増賃金を払わなくてはなりません。

 

 

 

なぜ掛け持ち先の労働時間を通算しなくてはならないのか

 

では、「そもそも労働時間は会社ごとではなく、通算しなくてはいけないのか?」という疑問について。

 

労働基準法にこんな条文があります。

 

「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」第38条1項

 

掛け持ちで働いた場合でも、それぞれの会社ごとではなく通算して労働時間をカウントするのは、法律で決まっているというわけです。

 

労基法の目的が「労働者保護」であることを考えれば、1つしかない体の健康面、安全面に配慮して労働時間を通算して考えるのは当然ですよね。

 

たとえ事業所が異なったとしても同じことです。

 

 

 

 

法定労働時間を超えて働かせた分は誰が割増賃金を払うの?

 

法定労働時間を超えて働かせた場合、どちらの会社が割増賃金の支払義務を負うのかというと、下記のいずれかになります。(法的解釈)

 

後で勤務させたほうが時間外割増賃金の支払い義務を負う

 

時間的に後で労働契約を締結した会社が支払い義務を負う

 

どちらの解釈も根拠があります。

 

後で勤務させたほうは、先の会社で働いてきた従業員に対して労働時間を確認するなどし、法定労働時間を超えない働き方をさせられる余地があります。

 

後で契約する立場にある会社は、「他でも働いていますか?」と採用時に確認できる余地があります。

 

法律条文で明確化されていないため、仮に裁判などになれば、それぞれのケースごとに判断されると思われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

パートの掛け持ちで法定労働時間を超えてしまった場合、実際に割増賃金はもらえるのか?

 

 

ここまでは法律条文や法的解釈のお話でした。

 

では、実際問題として、パートの掛け持ちで法定労働時間を超えて働いてしまった場合、割増賃金は支払われているのでしょうか。

 

答えは、「ほとんど支払われていない。」です。

 

理由は主に3つあります。

 

1.本人が故意に隠している

 

2.会社が確認していない

 

3.会社が知っていながら払わない

 

それぞれ説明します。

 

 

 

本人がパートの掛け持ちを隠している

 

掛け持ちを隠すのはいろいろなケースがあります。

 

会社が採用面接のときに、「他でも働いていますか?」と聞いてきたのに「働いていません。」とウソをつく

 

兼業禁止規定があるにもかかわらず、途中から他の会社で掛け持ちを始める

 

兼業禁止規定があるかないか確認せず、悪気なく掛け持ちしてしまう

 

どのケースにしろ、本人が会社に掛け持ちを申告していないことによって、労働時間が合算でカウントされていないことになります。

 

 

会社が確認していない

 

会社は、従業員に対して労働時間の把握をし、安全を配慮する義務があります。

 

従業員が掛け持ちするかどうかは、本人に聞く、会社の規定で禁止するなどして、勝手に掛け持ちされないよう対策しなくてはなりません。

 

従業員からすれば、「規定に書かれてもいないし、採用時に聞かれもしなかったから掛け持ちしていいと思った。」と言いたくなるかもしれません。

 

 

 

会社が知っていながら払わない

 

法律で割増賃金の支払義務があり、掛け持ちを認識しているのにもかかわらず割増賃金を支払わないのは、なぜなのでしょうか。

 

たとえば、A社B社で掛け持ちしている労働者がいて、両社とも1日4時間、週5日の契約だったとしましょう。

 

契約締結時期はA社→B社の順番です。

 

両社が契約通りの働き方をさせれば、1日と1週間の法定労働時間を超えませんね。

 

しかし、ある日

 

A社で8:00〜12:00までの契約のところ、13:00まで働かせてしまった

 

B社では14:00〜18:00まで契約通りに働かせた

 

この場合、契約外の働き方をさせたのはA社です。

 

B社は契約通りの働き方をさせています。

 

でも、B社の方が後で勤務させているし、契約時期も後なので、B社に割増賃金の支払義務が発生することに。

 

B社からすれば

 

「A社の都合で1時間余分に働かせたのに、なぜ我が社が割増賃金を支払わないといけないのだ?」

 

と、納得できないでしょう。

 

このように、パートの掛け持ちで法定労働時間を超えて働かせた場合にどちらが割増賃金を払うのかは、法的解釈にもとづいても不合理が生じる可能性があります。

 

もちろん、「他の会社でいくら働いてもわが社には関係ないこと」と主張することは認められません。

 

普通は、「掛け持ちするなら通算して法定労働時間を超えないように働いてね。」と制限をかけることになります。

 

しかし、労働者からすればたくさん働けば割増賃金以上の収入を得られるため、制限をかけられるくらいなら掛け持ちを隠すという、負のループに陥ります。

 

結局、法律云々は置いておいて、パートの掛け持ちで法定労働時間を超えて働いてしまっても、割増賃金をもらえないことがほとんどなのです。 

 

 

 

【ひとやすみコラム:いつから「残業代」がもらえるのか?】

 

「残業」は法律用語ではありませんが、一般的な残業の定義とは下記のいずれかと考えることができます。

 

所定労働時間を超えて働かせた場合

 

法定労働時間を超えて働かせた場合

 

それぞれの言葉の意味は

 

所定労働時間...会社が決めた労働時間

 

法定労働時間...法律で定められた労働時間

 

です。

 

法定労働時間の範囲内であれば、所定労働時間は会社が就業規則で決めてよく、7.5時間だろうと5時間だろうと構いません。

 

法定労働時間は、1日8時間、1週間で40時間と定められています。

 

いわゆる「残業代」とは、残業した分に対して割増賃金がもらえることを指しますが、「割増賃金は残業に対してでるものと考える」のは少し語弊があります。

 

正しくは、「法定労働時間を超えた場合」にもらえるものです。

 

所定労働時間が7.5時間の会社で8時間働いたとしても、30分の割増賃金は法律上支払義務がありません。

 

30分働いた分の通常賃金は払わないといけないけれど、割増賃金をつける必要はないということです。

 

ただし、所定労働時間が7.5時間の会社で8時間労働した場合、30分に対して割増賃金をつけても、もちろん構いません。

 

労働基準法は、労働者を守るための法律なので、法律を「上回る対応」については何の問題もないからです。

 

「わたしの会社は7.5時間労働だから8時間働けば30分は割増の残業代がでるんでしょ?」と思っていた方は、会社によって対応が異なるということですね。

 

 

 

 

 

同じ時間働くなら掛け持ちより1つの会社の方がお得?

 

割増賃金の支払義務については、1つの会社のみで法定労働時間を超えて働いた場合、「働かせた会社が割増賃金を払う」という、とてもシンプルで納得できる仕組みです。

 

タイムカードを見れば一目瞭然なので、割増賃金は労働者に問題なく支払われるでしょう。

 

下手に掛け持ちして、「法定労働時間を超えて働いてるのに、実際は支払われない」状態になるより、わかりやすく割増賃金がもらえる1社で働く方がいいのです。

 

同じ時間で同じ時給で働いたとしても、収入が増えることになるからです。

 

 

 

シフトに入りたくても入れない場合はどうする?

 

パートの掛け持ちの場合は、「本当はフルタイムで働きたいけど、シフトに入れてもらえないからやむを得ず」掛け持ちする人も多いでしょう。

 

この場合は、掛け持ち先の労働時間を通算して、法定労働時間を超えないような契約を締結しなくてはなりません。

 

故意に掛け持ちを隠し、勝手に法定労働時間を超える働き方をするのは、法違反の片棒を会社に担がせていることになります。

 

1つのパート収入だけでお金が足りないなら、兼業ではなく、副業として雇われずに収入を得る方法もあります。

 

割増賃金が問題にならないのは、独立やフリーランスなど雇われない働き方です。

 

パソコンを使ったり、自宅でできる仕事なら、通勤の手間や時間がないため効率的に稼ぐこともできます。

 

もちろん、本業への影響がでないように、副業禁止規定がないか、体力的な負担がないかなど、自分自身でも十分に気をつけなくてはなりません。

 

 

 

 

最後に

 

いかがでしたか?

 

今回は、「パートの掛け持ちは残業代がもらえないの?」というお話でした。

 

まとめると、

 

掛け持ちしたときの残業代は、法律的にはもらえるけど、実際問題としてはもらえないケースが多い

 

です。

 

だから、掛け持ちするなら通算時間に気をつけて働くか、掛け持ちより1社で働いたり副業をした方がいいという提案でした。

 

パートの掛け持ちをされている方や、今後掛け持ちをしょうと考えている方は、残業代の問題もあるという点を考慮して、最適な働き方を見つけてくださいね。

 

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